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ワイはおしゃれじゃない

昔から一人が好きで、友人と買い物に行くということがほとんどなかった。たとえ友人であろうと、他人にペースを合わせるのが苦痛で仕方なく、自分で服を買いに行くようになった中学生の頃から、ずっと一人で買い物をしていた。服なんて自分が着たいものを着ればいい。自分で選べばいいのだ。気になった服を友人に見せて似合うか確認してから選ぶなんて何の意味もない。そう思っていた。

 

高校生になり、身体の成長は止まったものの、服の趣味はどんどん変わる。結果、物理的ではなく精神的に、去年買った服を着ることができなくなる。時代を先取ってミニマリズムを信奉していた僕は、毎年毎年安っぽい服を大量に買っては捨てることにうんざりし、自分が本当に欲しいと思う、上質で長く着れそうな服だけを数点買おうと、雑誌で名前をよく見るセレクトショップに服を買いに行った。

 

ついにジーンズメイトを卒業してセレクトショップの扉を開いた僕は、新入生らしくおしゃれなお兄さんたちに心の中であいさつしつつ、雑誌のストリートスナップで見つけたカッコイイアイテムに似たものを一式揃えた。同年代の友人に相談しながら選ぶより、読者モデルやカッコイイ年上のお兄さんのスナップを参考にする方がよっぽどいいに決まってる。これで僕もスナップされちゃうかも。おしゃれKING待ったなし。

 

翌日、僕っておしゃれだな~ と全裸で風呂場の鏡に恍惚の笑みを浮かべてから、最高にイカしたコーデで用事もなく地元を散歩していると、後ろから声をかけられた。「すみません、こちらから原宿へ伺うべきでした。僕のためにこんな町までご足労頂いて申し訳ないです。」という表情で振り向くと、そこにいたのは雑誌のスナップ班ではなく、中学で同じクラスの時に、リコーダー、水着、体操着と三種の神器をフルセットで盗まれている一流美少女Yちゃん。

 

「えっ、その服、めちゃめちゃカッコイイじゃん。めっちゃおしゃれじゃん。どこで買ったの?」「UNITED ARROWS(なめらかな発音で)」「うわ~ 大人だね~ てか今日親いないんだけど、うち来る~?」「いいけど、ズボンプレッサーがないなら脱げないよ。」という会話はなく、まるで彼氏のようにYちゃんの手を握っていた同じく元クラスメイトのT君に、「久しぶりじゃん。てかその格好どうしたの? 全然似合ってないよ。」と言われ、Yちゃんに、「うん、なんか変だよ~ T君みたいな感じの方が好き~」と言われ、「いや~ 急いでて適当に服選んじゃったんだよね。じゃ、電車に遅れるから。」とワックスでべたべたの頭を掻きながら駅の方へ走り、後ろに誰もいないことを確認した後に華麗なステップでUターンして帰宅すると、母に「あんた何その格好? おかしいわよ。」と止めを刺され、僕はこの2年間毎月買って本棚にきれいに並べていたCHOKiCHOKiを捨てた。

 

 

愛はおしゃれじゃない

愛はおしゃれじゃない