おしゃれな奴 must die

僕は代官山とか六本木とか聞くと、もう単語だけで吐き気、眩暈、頭痛がひどくなる。ああいう街のおしゃれカフェで「落ち着く~♥」とか言いながら本当に落ち着いている奴が同じ人間とは信じられない。地元のドトールでは落ち着けないなんてかわいそうだな、と哀れむしかない。

大体、あの手のエリアはなんなんだ。どいつもこいつも帽子。それもスナフキンのような糞デカイの。街全体でドレスコードが定められているのか。満員電車で僕の顔面にガンガンつばをぶつけてくるアホのケツには思わずガムをつけてしまった。

 

非常に不愉快なことに、僕の地元近辺もおしゃれエリアとして名を馳せている。週末は部屋着でコンビニに行くことさえ憚られるぐらい、着飾った来訪者でいっぱいだ。

「どうだ、いい女連れてるだろ?」と言わんばかりに売春婦顔負けの露出度を誇るアバズレを連れたEXILE系男子や、「どう? 私きれいでしょ?」と言わんばかりに周囲の視線を浴びていない可能性が一切考慮できないまま優雅に歩く自意識過剰キラキラ女子、前述の糞デカ黒ハットに黒のMA-1、黒のスキニー、白いハイテクスニーカーを履いた流行を追いかけないと死ぬヒョロガリ、ちょっとよくわからないから表現できないけど君は高円寺から出るなとしか言いようがないTHE サブカル女子、こんな面々が地元を闊歩する。

 

おかげで純朴な地元民の僕は、ちょっと外に出るのにも気を遣わなければならない。さもなくば、ナウでヤングなインベーダーが目から出す「だせえ格好でうろちょろしてんじゃねーよカス」光線で殺される。

仕方がないのでちょっといい感じの部屋着で、「いえ、僕はすぐそこに住んでて…」とアピールしていたけど、近所の友人は必ずワックスで髪を整えてからコンビニに行っていた。高校生の頃、上下スウェットで彼と会った時は、「そんな格好で外出るなんてありえない」と咎められた記憶があるけど、最近会ったらハゲていた。ドンマイ。今はどんな格好でコンビニに行くのだろう。

 

自分がおしゃれしたければ勝手にすればいい。そんなことはどうでもいい。

しかし、世の中にはおしゃれをしない人間を見下すおしゃれマンが多すぎる。全人類をおしゃれにしないと気が済まないのか。それともダサい群衆の上に立つおしゃれな自分に酔っているのか。まあどう見ても後者なんだけど。

 

とりあえず迷惑な上に気持ち悪いので、糞デカ黒ハット族にはすれ違いざまに痰を吐きかけていきたいと思う。パーカーを着ていればフードにガムも入れてやる。徹底的にやる。奴らが死滅するまで。これが僕の年末クリアランスセールだ。