読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

普通になれなかった自分

もう長いこと外に出ていない僕だけど、部屋の換気ぐらいはしなくちゃと、よく窓を開ける。

すると目に入ってくるのは、普通に生活している人たち。

スーパーの買い物袋をぶら下げた子連れの主婦、時計を見ながら早足で進むサラリーマン、学校帰りと思しき制服姿の高校生、友達とはしゃいで走り回る小学生。

 

僕にはまぶしいくらい「普通」に生きている人たち。

彼らを眺めていると、なんだか息が詰まる。向こうはこちらに気付いていないはずなのに、なんだか責められているような、蔑まれているような気がしてくる。

 

きっと彼らもいろいろ悩んだり苦しんだりしながら生きているんだろう。今の自分に100%満足している人なんてほとんどいないはずだ。「普通」ですらなくて、もしかすると僕よりつらい気持ちで暮らしているかもしれない。

それでも、僕の方がつらいよ、と思いながら外を見る。

 

僕が「普通」からコースアウトしたのはいつだろう。

気付いたら、周りと同じように振る舞うことができなくなっていた。

何か奇抜なことをしたわけでもないし、したかったわけでもない。なんだか冷めた気持ちで周囲を俯瞰していたような気はしなくもない。けど、本当は「普通」に混ざって、「普通」の中で生きていきたかった。

 

普通にはしゃいで、普通にたくさん友達を作って、普通に恋愛もして、普通にサークルもして、普通に勉強もして…

 

今でもそういう「普通」に憧れる気持ちはある。

それでも、今の僕が「普通」を手にしたところで、その生活を続けていけるとは思えない。続けていきたいとも思わない。憧れているだけで、本当に欲しいわけではないのだ。

 

街中でとてつもなくきれいな人を見かけたとする。多くの男性は憧れるだろう。

奇跡的にその人と付き合えたとする。やはり、大抵の人は喜ぶ。

 

でも、僕はそうじゃない。

「ガストじゃだめだよな… 高級フレンチを予約しなきゃ」「ありきたりなデートプランじゃだめだよな…」「服も彼女に見合ったようないいブランドのものを着なければ…」

こんなことが頭をよぎって、しんどくなる。もうやっていられるか、となってしまう。やっていく自信なんてゼロだ。

 

 

僕が「普通」に憧れても、欲することはないのは、そういう感じ。