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暇だけど、退屈じゃない

ずっと暇だった。中高と帰宅部で、特別何か趣味があったわけでもなければ、受験勉強に励んだわけでもない。進学したのが三流私大の文系学部ということもあり講義は楽で、サークルや部活にも加入しなかったので、孤独に怠惰なキャンパスライフを送った。バイトもたまにやったりやらなかったりでそれほど金銭的な余裕もなく、ほとんどを自室で過ごしてきた。

 

学生時代のことを聞かれて仕方なくこんな話をすると、「何をしてたの?」「かわいそう」という反応が返ってくるばかり。まあ、そりゃそうだ。自分でもそう思うことがある。中高の頃は比較的友人の多い方だったし、大学でもわずかながら学外に友人はいた。それでも、部活やサークル、勉強、バイトに励んでこなかった僕は、確かにずっと暇だった。圧倒的に時間が有り余っていたのだから。

 

それでも、退屈だと感じたことはない。やることはいくらでもあったからだ。

 

僕は無職になるつもりは一切ないんだけど、phaさんのブログが好きでよく読む。日本一有名なニートなんて言われてて、「ニートなんか興味ねえよ」という人は食わず嫌いしているのかも知れないけど、まあちょっと読んでほしい。

 

こないだ話していたのは「無職やるのにも向いてる人と向いてない人がいるよね」ということだ。具体的には「お金をそんなに使わずに時間を潰すことができるかどうか」というようなことなんだけど。

無職の才能 - phaの日記

 

僕が自宅にこもっていることを知る友人は口を揃えて、「おまえ何もしないで平気なの?」と聞いてきた。「何もしないで」というのは、お金も趣味もほとんどない人間が家で一人でできることなんて何もないだろう、つらくないのか、ということだ。「別に何もしてないわけじゃないし、それほど悪い生活でもないよ」ということを伝えても、あまりわかってもらえなかった。それは、僕にはphaさんの言う「無職の才能」があって、友人たちにはなかったということなのだろう。

 

街に出て飲み会とかするのが好きな人はあんまり無職に向いていない。飲み食いは結構お金がかかる。買い物が好きな人も向いてない。ギャンブルに走ってしまう人も駄目。一方、インターネットやゲームや本が好きな人はそんなにお金がなくても幸せに暮らせる。僕なんかひたすらWikipediaを読んでるだけで何時間も過ぎていることがよくある。WikipediaYouTubeニコニコ動画、ブログ、2chまとめwikiなど、ネットにはお金をかけなくても楽しめる無料のコンテンツが既に大量に存在している。

無職の才能 - phaの日記

 

僕は基本的に外に出るのが嫌いで、お酒は好きだけど友人が少ないので飲み会に行くことは年に10回もない。食事にはほとんど興味がないので、ソイレントみたいなものが早く広まらないかなと思っている。物欲もそれほどないし、ギャンブルは一切しない。それでいて、昔からネットは好きなのでお金を使わずに楽しく過ごすことが簡単にできる。ゲームはほとんどしなくなったけど、本はぼちぼち読む。どうやら無職に向いているようだ。

 

故・中島らも御大は「「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある」と言っていた。

無職の才能 - phaの日記

 

無職を長く続けられる人(≠やむなく続けている人)というのは、やはりこの「技術」を持っているんだろう。phaさんのように無職や無職に近い人たちとシェアハウスをしていても程度が違うだけで、無職というのは一人で暇を潰さざるを得ない時間がかなり多い。そこで、どうしても暇潰しの手段が必要になる。

 

僕は無職だったことはないんだけど、最低限の講義に出席する以外ほとんど自宅にいた大学生の頃は、無職並に暇な時間があった。僕は学生がアルバイトをしていないというだけで自称する、「学生ニート」という言葉が大嫌いなんだけど、僕はほとんど無職に近い学生だった、という無意味なマウンティングをかましておく。

 

それでもネットや本のおかげで、退屈だと感じたことは一度もない。本当にただの一度も、だ。単にだらだらしすぎて感覚が麻痺していただけだろう、という見方もできるけど、「退屈」という感覚が麻痺するまで暇を耐え抜ける人はそれほど多くないと思う。

 

昔から、「マジ暇だわ。暇すぎて死ぬ。」「昨日一歩も外出なかった。ヤバくね?」とかいちいち言ってくる友人のことが理解できなかった。暇で死ぬってなんだよ、何かしらやることあるだろ。一日外に出なかっただけでヤバイなんて感じるおまえがヤバイぞ、と。

 

でも、こういう思考の人って多くて、そっちが「普通」なんだよね。「一人で時間をつぶせる技術」を持たない人は結構多い。ましてや常にLINEやTwitterで誰かと繋がっているような世代は、一人で暇を潰すということが難しくなっているのかも知れない。

 

これからも、「こないだの連休何してた?」なんて聞かれて、「家でネットしたり本読んでました。」と答えると哀れみの目を向けられるのだろう。「つまんねえ人生だな。」イケイケの上司に蔑まれることもあるに違いない。その度に僕は、一人で時間を潰せない彼らを哀れみながら愛想笑いをするだろう。